ベレット雑記
古本まゆ いすゞベレット1800GT
フロント足廻り17

2014年8月15日

 スラッシュさんに特注でお願いしていた、『ZERO』ブランドの新しいフロントの荒巻スプリングの試作品が出来上がってきました。
 フロントの足回りの新しい設定の方向は、若い頃ブラックちゃん号に乗っていた時の恐怖体験に始まります。富士スピードウェイのスポーツ走行の一周目で、コースを確認する為にゆっくり気味に走っていたのですが、第一コーナーをアウトからイン・インに回り、そのまま第一第二の複合コーナーに向かったところ、コーナーで突然グリップを失って一気にコースアウトして、カードレールをフロントガラスのすぐ前に拝み、前日の雨に濡れた草の上をフルカウンターをあてたまま、氷の上を滑るように数十メートルも横滑りしていきました。幸いにも、スピンしてガードレールに激突するというようなこともなく、走行を再開できました。まるで「サーキットの狼」の一場面のようですが、人間やればできるものです(^_^)。
 ところで、さして高くもないスピードで急にグリップを失った原因については、固すぎるスプリングが底づきを起こした為ではないかと当時から考えていたのですが、実際に足のデータをとってみると、サーキット走行くらいでアウト側が底づきを起こす可能性はほとんどなさそうです。そうすると伸び側のストローク不足によるインリフトが怪しまれます。
 その出来事以前にベレット・オーナーズ倶楽部で、ベレット使いの浅岡重輝さんの富士の攻め方の講習を受けた時に、第一コーナーをイン・イン・インで抜けて、スピードを殺したまま次の複合コーナーに向かう、かなり(私的には)我慢を強いられる攻め方を推奨してみえてことを思い出しました。今思うと、第一コーナーをアウトから思い切り回ってしまうと、ベレットの足では次のコーナーが攻めきれないことを識ってみえたのかもしれません(あくまで推測ですが……)。
 ベレット1800GTのフロントのバネ常数は、GT-typeRと同じ(多分同じ)だとすると5.3という、市販車としては非常に固いものになります。ダートでは跳びはねてしまって使い物になりません。昔のカーグラに「ベレットは、ダートにもそこそこ強い」というような記事があって、「そんな訳あるか!」と思っていたのですが、今考えると、1800GTよりも、ずっとバネ常数の低い1600GTの話だったのでしょうね(「ウルトラ7」の中のラリーの話にも、ベレットが何台か出てました)。そこで、スプリングをノーマルの1800GTよりも柔らかく、自由長の長いものにして、Rのきつめの高速コーナーでのインリフトを抑え、日常の使用においても、よりしなやかな足を実現しようとというのが、今回スラッシュさんに相談した試作スプリングの方向性になります。

【純正データ】
●線径:15mm ●内径:91mm ●約10巻 ●自由長:314mm(スペア品で実測)
●レート:約5.3kgf/mm(GT-typeRのデータ) ●密着長:143mm
@1G高さ :250mm(220+280÷2)(実測)
【1G値=H250時/339.2kgf(5.3x(314-250))】
【密着まで残りストローク:107mm(250-143)】

【試作仕様@】
●線径:14mm ●内径:91mm ●9.4巻 ●自由長:325mm
●レート:4.5kgf/mm ●密着長:124mm
【1G値=H250時/337.5kgf(4.5x(325-250))】
【密着まで残りストローク:126mm(250-124)】
※その後、【自由長: 320mm 交差−5.0mm/+5.0mm】に変更


 そう大きくは変更していないのですが、数字を見る限り、なかなかに良い仕様のように思われます?

 走行性能を上げる為には、普通ノーマルよりも固く低くするのが定石ですので、本当にこの方向性が正しいのかどうか?現時点ではよく判りません。実際に試作スプリングを入れることで、確認できると思います。流石に富士の第二・第三コーナーのような特殊なコーナーでの限界時の挙動を、公道上で試すのは(こっちも事故りたくはありませんで)難しいと思いますが。
 予算が厳しいので、期待した方向の効果がでても、すぐに試作品Aの製作をお願いできるかどうかは判りません。


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