二銭銅貨










「二銭銅貨」は、江戸川乱歩の、記念すべきデビュー作であり、彼の短篇の代表作のひとつである。
 二銭銅貨の内部をくり抜いて作られた、一見ふつうの二銭銅貨と変わらない容器から出てきた暗号の謎解きの妙と、私と友人をめぐる物語が見事にマッチした名作である。
 ところで、その二銭銅貨は、煙草を買ったおつりでもらったとのことなので、今の10円や100円硬貨くらいの大きさものを連想される方も多いことだろう。事実「二銭銅貨」が書かれた大正11年頃の二銭銅貨の価値は、今の100円くらいのものだったらしい。しかし、昔の硬貨は、今の硬貨よりも、遥かに立派だった。上の二銭銅貨は、実物大の大きさ(ディスプレイによって、表示される大きさは変わると思う)になる。
 なるほど、これなら、内部をくり抜く(二枚の二銭銅貨を、それぞれ片面をすり減らせ、ネジを切って、一枚に合わせる)ような加工も、可能だったかもしれない。