最近、アニメ版の『どろろ』をDVDで見直す機会がありました。 どの妖怪が、百鬼丸の身体のどの部位を奪っていたのか、ちょっと興味を持ったというか、物語の中に疑問を感じる部分もあったので、纏めてみました。 アニメの一場面を引用することは、著作権上問題ないものと理解しておりますが、もし著作権者に商業利用と見なされるようであれば、HPからのリンクを削除します。 |
始まり (第1・2話 百鬼丸の巻 )
応仁の乱の後の戦乱の時代、全ては冨樫家に使える一人の武将が、地獄堂に祀られた48体の魔神像に天下取りの願をかけ、生まれてくる自分の子どもを、生け贄として捧げたことから始まります。 |
目も鼻も口も、手も足もない芋虫のような身体で生まれた赤子は、両親の手によって川に流されますが、医者の寿光の手で拾われます。 寿光は、木と焼き物とで、その赤子の為に身体の足りない部分を造り、手術によって、その赤子の命を救います。 |
赤子は百鬼丸と名付けられ、寿光の下で普通の子どものように生長しますが、やがて百鬼丸の周りには妖怪が付きまとうようになります。 |
魔神の声によって、己の生い立ちの秘密を識った百鬼丸は、魔神の分身である48匹の妖怪を倒して自分の本当の身体を取り戻すべく、長く過酷な、宿命の旅に出ます。 |
21匹目 人面瘡(第3・4話 万代の巻 )
村人の金銭を奪いさる、醜い妖怪。その尻尾の先には!
村人に慕われる、慈悲深き万代様の正体は、村娘に取り憑いた人面瘡だった
第17話「妖怪どんぶりばら」に登場する亀の魔物を、百鬼丸は「28匹目の妖怪」と言っています。これから逆算していった場合、第1話でどろろと百鬼丸が出会う以前に、百鬼丸は既に20体の妖怪を倒していたことになります。ちょっと数が多すぎるような気もしますが、漫画版「どろろ」の、既に何体かの妖怪を倒し「臍、鼻、髪の毛など」を取り戻したという記述とも矛盾しません。その後の、倒した妖怪と戻ってきた身体の部位については、漫画版とアニメ版とでは、色々と相違があるようです。 |
人面瘡を倒したことにより、左足が戻ってきました。漫画版では右腕です。両腕に仕込んだ剣が、アニメとして絵になることによる変更ではないかと、想像しています。 抜け落ちた義足の表現が、変です。 |
22匹目 妖刀似蛭(第7・8話 妖刀似蛭の巻 )
持ち主を操る、剣の妖器です
百鬼丸に、左目が戻りました
23匹目 九尾の狐(第9〜11話 ばんもんの巻 )
巨大な狐火
百鬼丸が父 醍醐景光や、母 縫の方と再会し、弟の多宝丸をそれとは知らずに切り捨てる、非常に重要かつ、衝撃的な話です。 九尾の狐が百鬼丸から奪っていた身体の部位は不明です。 |
24匹目 白面不動(第12・13話 白面不動の巻 )
正体は、岩に付いた黴。ほとんど動くことは出来ないようです。奪っていた部位は不明です。 |
25匹目 一口囓り 別名かじりんこん(第14話 妖怪かじりんこん)
業の深い人間が、死後に変化した妖怪です。今までの話の陰惨な雰囲気を変えようとしたのか、この回以降物語が軽くなり、今までの「どろろ」のもつ物語の凄まじさが喪われてしまったのが残念です。 百鬼丸に、声帯が戻ってきました。 |
26匹目 マタタビの木の魔物(第15話 いないいない村)
巨大な生物の骨と一体化したマタタビの木
両耳が、一度に戻ってきました。
27匹目 馬の魔物(第16話 妖馬みどろ)
涙腺が戻ってきました。
28匹体目 亀の魔物(第17話 妖怪どんぶりばら)
表題の「どんぶりばら」は、アニメ版では、長者が扮しただけの架空の妖怪の名前と思われます。 腹が大きくて、あまり動けない為、白面不動と同様、主に妖力による戦いを挑みます。 |
右眼が戻りました。
29匹目 ビラビラ(第18話 海獣ビラビラ)
巨大な海の妖怪
歯が戻りました。
30匹目 雷火犬(第19話 雷火犬)
奪っていた部位は不明です。
31匹目 おんぶら鬼(第20話 おんぶら鬼)
背骨が戻りました。
32匹目 まいまいおんば(第21話 まいまいおんば)
蛾の魔物です。
戻ってきたのは右足のはず?ですが、この作画表現からは、左足が戻りつつあるように見受けられます。 |
33匹目 もんもん(第22話 妖怪もんもん)
名前や姿、能力から見て、モモンガの魔物だと思われます。 奪っていた部位は不明です。 |
34匹目 人食い大木(第23話 人食い大木)
奪っていた部位は不明です。
35匹目 四化入道(第24話 四化入道)
砦を造る計画から寺を守ろうとして生き埋めにされた住職に、鼠と土竜と川獺と蟇の精気が混じり合って生まれた妖怪です。 |
この戦いで火傷をした右手の痛みを感じる神経が戻ってきたのですが、24話の時点では、左腕と同様、右腕もまだ義手のはずなので変です。漫画版の設定との混乱が見られます。 |
36匹目 土坊主(第25話 妖怪土坊主)
両手に皮膚が戻りつつあります。この時点では両腕とも義手のはずなので、24話に続いて、設定に混乱が見られます。 |
??匹目 大草鞋の魔物(第26話 最後の妖怪)
百鬼丸はどろろと別れ、ひとり妖怪退治の旅を続けます。土坊主と47匹目とされる鵺の間に10体の妖怪を退治している計算になりますが、アニメに登場するのは4体だけです。。 |
私のお気に入りの妖怪。奪っていた部位は不明です。
??匹目 貝の魔物(第26話 最後の妖怪)
奪っていた部位は不明です。
??匹目 蟻地獄の魔物(第26話 最後の妖怪)
奪っていた部位は不明です。
4?匹目 木の魔物(第26話 最後の妖怪)
第23話の人食い大木と同一に見えますが、絵の使い回しはありません。瞳部分のデザインにも違いがあります。 奪っていた部位は不明です。 |
47匹目 鵺(第26話 最後の妖怪)
遂に、右腕が戻りました。
48匹目 醍醐景光(第26話 最後の妖怪)
最後の妖怪は、心を魔神に取とられた百鬼丸の父 醍醐景光です。一口囓りや四化入道とは違い、生きたまま妖怪と化そうとしていたようですが、鬼畜ながら景光としての心もまだ残っていたようで、百鬼丸の敵ではありませんでした。その野望が叶えられることはなく、最後まで一武将のままで、魔神の操り人形としての生涯を終えます。 奪っていた部位は不明です。 どろろ達の一揆は、この後冨樫氏を倒し、「百姓のもちたる国」を打ちたてることでしょう。 全ての身体の部位を取り戻した百鬼丸は、「もう誰とも会いたくないんだ」と呟いて、景光の下から救い出した どろろにも会わずに去っていきます。 戻る先は、「俺の親父」と呼ぶ、医師 寿光のところでしょうか? 「どろろと百鬼丸の物語」はここで終わりますが、百鬼丸が寿光と再会し、新しい人生を見いだすことを信じたいです。 戦国の世は、まだ百年以上続きます。 「我々48体の魔神は、不死身だ! 世が乱れる限り、また必ず地上へと蘇ってくる」という、百鬼丸が始まりに聞いたのと同じ声が聞こえるような気がしたのは、私だけでしょうか? |